ひとくぎり。

いま送っている日常が1つコンマを打ったので、久々に日記を書いています。

 

今わたしはシチリア島のリングワグロッサという街に、約10日前から滞在しています。

 

この時期様々な街で行われる野外オペラ。

 

このリングワグロッサという小さな街でも、毎年オペラフェスティバルとして行われています。シモーネ•アライモという世界的オペラ歌手が長く幼少期を過ごしたある寄宿舎(教会もある)があり、そこの大きな広場では何十年も前から様々な催しものが行われていたよう。

そんな場所でアライモが夏のオペラフェスティバルを企画、そこで私は椿姫のヴィオレッタ役で参加します。

 

アライモさんに初めてお声をかけて頂いたとき、あまりの大役さに嬉しさより戸惑いが多く、正直(アライモさん、、買いかぶりすぎです)と、冗談ぬきで『アンニーナなら歌ったことがあるので確実に歌えます』と、逃げました笑 冗談かと思ったので笑 

だって、イタリアにおける椿姫の思入れって凄まじいんですよ。。日本人における蝶々夫人ですよ?いや、もっともっと深いですね、、

それにさっまざまざな声楽的演劇的要素が必要で、去年やらせて頂いた愛の妙薬のアディーナとは訳が違う。そんな役は、今まで当然な話として『イタリアではやらせてもらえないとは思うけど、日本ではやると思うから』という程でいつも話しているものでした。ま、イタリアの劇場という意味ですけどね。

だからフェスティバルとは言え、小さな街のものとは言え、私にとっては特別なイタリアでのヴィオレッタデビュー。

 

昨夜相手役のアルフレードをするカルミネ•リッチョとおしゃべりしながら、理解を深め合いました。私が描く二人の間にある何かの距離を測り合う時間。大切です。少なくとも外国人である私にとっては。

 

今日音楽を入れて動いてみて、また詰めてみたいと思います。

 

昨夜ここの寄宿舎のオーナーさんが色々話してくれて、実は彼が私の公演の日にたくさん重要な人物を招待したんだって。えー。

 

実はね、私は第2キャストなんですよ。

イタリアの劇場では第1と第2の間にははっきりとした境があって、『彼女は第2としては歌えるけど、第1としては一生呼ばれないだろうね』という言い回しをよくするほどです。ギャラも違えば、待遇も違う。

ゲネプロもやらせてくれないなんてザラ。

 

ここフェスティバルでは、歌以外の色んな理由が絡み合って(国際なんとか問題?)私は第2キャストとなりました。第1キャストはオランダ人。アライモさんも申し訳ないと謝っていた。

 

普通は第1キャストの日に批評家やら記者やらをたくさん呼ぶものなんですよ。だから、オーナーさんのその言葉には、とても愛を感じました。去年彼とは別の問題で散々喧嘩したのに笑 、今年会ったとき、親愛の気持ちで優しく接してくれました。今も良くしてくれてます。

 

さて頭にあるイメージを、心にある思いを、声と体に載せる稽古をたくさんしなくては。

 

あと3日。

 

頑張ります。

 

ではまた!